最近はすることが無い。かといって仕事は出来ない病気の身。毎日は灰色のように無味である。でも近頃は色が着いてきた。一日喫茶して本を読むだけ。人と逢うことは稀である。他人を見下す趣味が出来た。一番伊達なのは私である。考えることは死についてだけ。目の前の生に全 ...

(無著立像 興福寺)10月15日 陰鬱な冬晴れの日 日本髪の似合う琉球人、黒島結菜の日 血塗られた壁の日自分は人間として生きる資格があるのか。時々そう思う。生きる資格。たぶんそれは考え過ぎた人間が求めるものだろう。楽天家にとって生きることは自明であり、疑 ...

私という人間は茶道によって形成されました。私は茶道によって自分というものを知りました。茶道というのは素晴らしいものです。同時に良くないものでもあります。茶道は人を育てもするし、破滅させもするからです。茶道の深淵を本当に知るとき、だれもがその業の深さに慄然 ...

当所をご覧の皆さまへこのたびはお越し頂きましてありがとうございます。ずいぶん前から此所にお越しいただいている方も中にはおられることと思います。私です。マボタン亭主であります。今日私は皆さまに対して重要なお知らせをいたそうと思い、この記事を投稿します。皆さ ...

(深山吾亦紅 先月、立山室堂にて)引っ越して半年、私はある「良くない変化」に気づきました。金沢という町は私にとって何より多くの魅力を備えた場所として立ち現われました。此所を私は何処よりも住む価値のあるべきものとして信じ、実際移住したのです。本当に半年間、 ...

秋の涼しい風が吹いています。空を見上げれば気分屋ないわし雲が浮かんでいました。もう一番暑い時期は終わってしまったんだな、とこの雲を見て悟ります。白露、とは名の通り、冷たい空気のせいで草の葉に露がしたたるのです。まだ其処まで寒くないので想像できませんけど、 ...

「良い蓋物だね。」知里恵美里は目の前に置かれた菓子器の蓋を手に取りひっくり返す。銹絵の薄。枯れた風情。ずっしりとした質感。乾山はこうでなくてはならない、と思う。裏を見やれば南蛮じみた菱の入った文様が目に入る。菓子は未だに葛饅頭だ。恵美里の一畳と、板敷、そ ...

たまにはお茶の話でもしましょうか。まずは一服差し上げましょう。菓子は着せ綿ですね。もう九月の重陽です。わしゃわしゃした頭の花を見ているとフジバカマを思い出します。そのお茶碗ですか。すいません。暑苦しいですね。本当に。夏だというのに筒茶碗。私は何もかもお茶 ...

「いいねえ、やっぱり、富士は。」彼は眼を細めて空を仰ぐとこう言いました。うん、うんとうなずいている彼はようやく富士山にやってきたという気になったのでしょう。太宰はこんな風に御坂峠で言っていたんだがね、と自慢気です。かく言う私も普段は遠目に見るばかりの富士 ...

萩(玉川町)一日遅れました。処暑です。暑い昼を越して薄闇になると秋虫が鳴いて少し涼しい風が入ってきます。おや、誰でしょう。蝉です。事を全てなし終えた力無い蝉が外で網戸を叩いてのたうち回っています。私には何もすることが出来ません。数分おきにねじを巻くような ...

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