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華の秋はもう間近かな。野々村仁清 色絵武蔵野茶碗、根津美術館蔵。

最近は、あちらこちらでススキが見られるようになってきました。この暑さも少しは収まると、飲む抹茶も少しは美味しくなろうかというもの。中秋のころには、今よりも少しは過ごしやすくなっているかもしれません。

ところで、写真のお茶碗を作ったのは、野々村仁清という、江戸初期を代表する陶工。飛騨高山藩の御曹司(とはいっても勘当されましたが)で茶人として知られた、金森宗和とタッグを組んで京都仁和寺周辺に、御室焼という焼き物を興しました。彼は公家好みのお道具を大量に世に送り出し、その質の高さは、同時期に活躍した本阿弥光悦(楽焼)や尾形乾山(乾山焼)と並ぶ評価を受けています。

彼の作ったお道具は、「用」には全くこだわらず、むしろ「美」の側面をとことん追求したものでした。なので、仁清のお道具は、使うよりも見るために作られたと言ってよいでしょう。彼の焼き物の特徴は、写真の茶碗のように、華やかな色合いを用いた絵付けにあります。いかにも、公家の好みを熟知した彼らしい作風に、どれも仕上がっております。

そんな仁清が作った武蔵野をモチーフにした茶碗。なんだか穏やかで且つ美しい秋をこの茶碗は想起させてくれます。わが武蔵野も、これから、どんどんこの茶碗の絵のように、ススキが伸びてくることでしょう。