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二日ほど雪で閉じ込められていたせいか、なんだか和菓子が食べたくなってきました。

ということで今日はこの時期にぴったりな和菓子を一つ。播磨は姫路の伊勢屋本店が生菓子「玉椿」であります。

このお菓子、知る人ぞ知る歴史あるお菓子です。時は文政年間、11代将軍・徳川家斉の娘が姫路城主酒井忠学に嫁ぐことになった際のこと。これを祝って姫路藩家老の河合寸翁という人が伊勢屋本店に命じて作らせました。その和菓子は姫路城のある姫山に咲く乙女椿に見立てて、「玉椿」と命名されました。これが大変に好評で、以後玉椿は姫路藩の御用菓子となりました。

この玉椿、見た目はやはり紅くて椿を思わせます。中身には黄味の玉子餡が入っています。それを包むのが薄紅色の求肥。食感はなんともいえぬものがあるでしょう。実に上品で春らしさのある和菓子です。

玉椿を取り扱う伊勢屋本店は姫路にしかお店がないので、食べるとなるとお取り寄せか直接買いに行くか、になります。私は姫路城の改修工事が終わったら姫路には行ってみたいと思っていますので、その折にでもこの玉椿を買い求めたいと思います。もちろん行くなら姫路だけではなく、岡山の後楽園や倉敷にも寄ってみたいですけどね。

私は姫路というと、あの江戸時代の数寄者兄弟、酒井宗雅と酒井抱一のことを思い出してしまいます。酒井、というのは姫路藩の藩主の家柄。二人ともお金持ちだったので宗雅は茶の湯に、抱一はちょっと悪い遊びに耽っていました。宗雅は山陰・松江の数寄藩主、松平不昧と交流があり、彼とともに江戸中期を代表する茶人として知られています。一方抱一は藩主の兄が夭逝した後半ば出奔のような形で江戸へ逃げ、そこで風雅な暮らしをしつつ画業を大成しました。後年、彼らの子孫がこの「玉椿」という素晴らしい風雅な和菓子を生み出したことを考えると、酒井家の血筋というのは文化人が多いのかもしれません。



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ちなみにですが、「玉椿」といえば、茶碗もあります。

高麗物、玉子手茶碗の銘「玉椿」(MOA美術館蔵)です。名の通り玉子色をしており、鏡のごとくツヤツヤしているという特徴があります。口縁は同じ高麗物の熊川茶碗のよう外側にペロンと出ています。そしてこの「玉椿」には御本茶碗に見られる斑点模様も持っており、なかなか魅力的であります。玉子手茶碗というのは、井戸茶碗のような元々雑器だったものではなく、日本からの発注によって作られて送られてきたもの。それゆえ侘びた風情よりは何か瀟洒な感じがしますね。

これからの季節は椿がどんどん咲いてきます。私も桜や梅ばかり見ていないで玉椿を探してみようと思います。

今回紹介した伊勢屋本店さんのHPです。よかったらのぞいてみてください→http://harimarche.com/store/Iseya/