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たまにはジブリの話でも、いかが。


井之頭公園内の森の中にある三鷹の森ジブリ美術館。この場所は言わずと知れたスタジオジブリ関連の展示を行う体験型の美術館です。2001年に開館して以来、東京の名所の一つとして人気を集めてきました。美術館は予約制をとっており、それでも館内はいつも混んでいます。最近では日本人はともかく海外からも多くの人が訪れるようになりました。

私はこのジブリ美術館に以前から行きたいと思っていましたし、ジブリ映画も相当好きな部類に入ると思います。宮崎駿の素晴らしい脚本や映画に対するこだわり、作品の裏に隠された深い意図や意味、魅力的な登場人物など、実にジブリ映画とは見るに値するものです。いくらアニメーションとはいえ、その完成度や価値においては純文学などの上位文化に引けを取らないものであろうと思います。

今日はようやくそのジブリ美術館に行くことができました。半月前から券を予約してずっとわくわくしながら待っていました。高校生のころに一度行ったことがありますが、それからはずいぶんと経っています。なので自分がこのたびどういう印象を受けるか楽しみにしていました。

になみにですが、当所は茶道と日本文化の話題しか扱わないことを方針としています。今日にいたるまでの二年間、それについてはおおむね守られていると思います。今回については、日本文化における周辺的、下位的な部位としてジブリ美術館をとらえているのだと理解してもらえればと思います。ということで当所の原則からは逸脱していないということでこの記事を書きます。




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入り口から敷地内に入ると見えてくるのは、大トトロの偽受付。みんなここで記念撮影をしていきます。下の穴の中にはマックロクロスケもいます。



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一階から地下一階を見る









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一階の廊下










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入り口から地下一階への階段



内部の様子です。ジブリ美術館は小さな美術館ですが、その分内装には細部まで非常にこだわってしまいます。これよりも大きなものを造ろうとしたら、ディズニーのような遊園地の道を歩むことになりますし、作るものも低予算のハリボテみたいなものを作るしかなくなってしまいます。逆にジブリ美術館くらいの大きさだと、構想を担当した宮崎駿の意図が隅々にまで活かされることので、実にちょうど良い規模だといえます。




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吹き抜けの一番上にはプロペラがついていました。風車のような意匠をしており、子ども心をくすぐられます。



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お手洗いもジブリ風。タイルに木の板、どれも普通のお手洗いじゃ見られないものばかり。


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一階外のお手洗い。赤に黄色のペンキの塗装がいい感じであります。







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ジブリ商品販売のお店、「マンマユート」。『紅の豚』に出てきたマンマユート団から来ています。看板にはマンマユート団のボスの顔がでかでかと。ちなみにマンマユートとはイタリア語で「ママ助けて」の意。






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一階外の売店。売っているものは少ないですが、例えば飲み物はジュース、麦茶、ビール(静岡県函南町で製造)、とコーラなどが無いあたりになんかこだわりを感じてしまいます。





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こちらはカフェ「麦わら帽子」。常に大盛況で昼時からは一時間待ちが常です。行くなら開店直後の11時ごろがねらい目かもしれません。特製の料理が出されるので体験してみる価値はあります。



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扉取っ手の金具部分。「ジブリ美術館」と英語で刻印されています。細部まで見てみて面白い美術館です。





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凝った意匠のランプ。こういうところが雰囲気を演出してくれます。




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水道前の子ども用の足台。宮崎駿の子ども目線な感じが実によく表れています。



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水道蛇口の猫。猫金具の部分をひねるとちゃんと水が出ます。相当風変わりですね。








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美術館のごみ箱。質素ながらお洒落さのある意匠です。



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一階外にある旗の一つ。どんぐりやら鷲やらをかたどった紋章になっています。しかし紋章とはいえ、どんぐりを意匠にしてしまうのはなんだか宮崎駿らしい感じがします。







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窓から見つめる猫。


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謎の木のでっぱり。何かと思っていたら、友達が「キヤツトウオーク」のためのものだ、と指摘してくれました。猫さん、渡れますかねぇ。少なくともうちの猫では渡れそうにありませんが。しかし遊び心があって大好きです、こういうのは。




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らせん階段。一方通行で上がることができます。よく子どもが団体様で上がっていきます。






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お手洗いの蛇口。イギリスにいたときはこういう蛇口が主でありました。どこから取り寄せたのでしょうね。






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映画のパンフレットは販売されています。今回見たのは『たからさがし』というもの。原っぱに遊びに出かけた少年がばったりうさぎの子どもと出会って、かけっこしたり、宝探しをしたりしてどっちが勝つか勝負するという物語。単純ではありますが、ジブリなりの温かい目線で作られていて、実にほっこりします。




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映画館天井の装飾。『千と千尋の神隠し』の坊の部屋の意匠(ついでにいえば『カリオストロの城』のクラリスが捕まっていた北の塔てっぺんのお部屋の意匠)とそっくりです。暗くなっても月と太陽の部分だけは明るいままです。




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映画の上映作品一覧です。ここでしか見られない作品ばかりであります。中でも『めいとねこバス』は『となりのトトロ』の続編っぽい物語。猫バスがたくさんでてきます。



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二階外にある謎の機械。水が飲めるみたいですが、飲めるのかなぁ。ちなみに下のレバーを回しても水は出ませんヨ。






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『天空の城ラピュタ』に出てきたラピュタ内部の黒い石とラピュタ文字。宮崎駿はけっこう文字を創作しちゃう人で、漫画版『風の谷のナウシカ』でも神聖文字や土鬼文字などが登場しました。NHKで放送された『プロフェッショナル 仕事の流儀』で宮崎駿が紹介されたさいには彼の作業部屋には日中辞典や日韓辞典がありましたが、こういった中国語やハングルなどの外国語が彼の言語創作の参考になったいたのではと私は思います。




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ジブリ美術館の「守り神」、『天空の城ラピュタ』に出てくるロボットです。迫力満点なだけではなく、細部まで実によくできています。あんまりいかめしい感じはせず、むしろ劇中で鳥の卵を助けようとした、あの優しい感じがありました。



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手すりの金具も実に凝っています。一部にはこのようにジブリ美術館の紋章をかたどったものが。



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消火器の置場にもこんな工夫が。ラッパに鉄の帽子、そして斧。よくここまでそろえたな、という感じです。







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穴の中のマックロクロスケたち。ススワタリは実にこういう場所に潜んでいたりするんですよね。ちなみに二階の遊戯場にはこのススワタリがたくさんおり、その中央には巨大猫バスがあります。




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地下一階パティオの建物のてっぺん。方位を示しています。







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手動のポンプと小さな水路。大人でもついつい動かしたくなります。マンホールにはオズの魔法使い風な顔が描かれています。




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手押しのポンプです。当然子どもは大はしゃぎです。押したら勢いよく水が出て、水路をつたってマンホールの中に落ちます。



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パティオの隅に積まれた薪。ちょっとこのパティオは『魔女の宅急便』でキキが部屋を借りたグーチョキパン店を思い出してしまいます。




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こちらもパティオ。たくさんの鉢植えの花木が置いてあります。ただの鉢植えなのに雰囲気が違って見えるのはどうしてでしょう。右奥の深緑色の階段はなんだかジブリに出てきそう。





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一階外売店のMENU看板。『紅の豚』のポルコがいます。手書きなところが実にいいです。下には中トトロと小トトロが描かれています。




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売店で売られている「風の谷ビール」。風の谷、という名を冠していますが、『風の谷のナウシカ』と関係アリなのでしょうか。友達がこれを注文したので、昼間から一杯あおりました。私はビールは苦手なのですが、このビールは実に苦味がなく、むしろ甘さも混じっているくらいであり、ただの缶ビールや飲み屋のビールと比べてはるかにおいしいです。アルコールはちゃんと5パーセント入っています。産地は静岡県の神奈川県との県境にある函南(かんなみ)です。新幹線が下を通っていますが、牛乳の産地として有名であり、放牧に適しています。




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売店で札束を出したら、店員さんがこんなものでお札を留めてくれました。『天空の城ラピュタ』のロボット兵の顔です。




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内部のエレベーターの上部。「昇降機」と書かれ、なんだか古風な意匠です。やはりこういうのを見ると思い出すのが『千と千尋の神隠し』の油屋のエレベーター。






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らせん階段の上にある時計。埋め込み式の時計で、実にお洒落です。時計の針もなんだか変わっています。






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二階の展示。上は「セル画」と呼ばれる完成形の姿で、下はおそらく宮崎駿本人が描いた構想段階のスケッチ。手に触れられる距離で見ることができます。絵はいずれも『魔女の宅急便』から。構想の時点ではキキの髪型がいろいろあったことが分かります(結局は作画の都合上短髪に落ち着きました)。



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一階展示の説明書き。宮崎駿本人が戯画化されて登場しています。ここも手書き風なのが実に良いのです。美術館の説明書きだと、こういう手書きはありえないでしょうが、逆に血の通っていない感じ、よそよそしい感じがします。手書きへのこだわりも宮崎自身の意図が反映されているのでしょう。ちなみにですが、展示室では『紅の豚』に出てくるポルコが爺さんになったみたいな人形がありました。私はこれは宮崎駿自身だろうと思って、友達と二人でこれを「ハヤオ豚」と命名して楽しんでいました。



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『魔女の宅急便』 キキが猫のぬいぐるみを老犬ジェフに渡す場面 「これ、お願いできますか」



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『天空の城ラピュタ』 ロボットがシータに摘んできた花を渡す場面。左にはドーラ一家、上にはラピュタが。



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『もののけ姫』 神々しいシシ神様、下は劇中最後の場面のコダマ





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『もののけ姫』 デイダラボッチとシシ神





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『千と千尋の神隠し』 湯婆婆、カオナシ、おしら様


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トトロ、ポルコの飛行艇、龍の姿のハクなど

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天窓、『崖の上のポニョ』のポニョと妹たち








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ジブリ美術館の紋章

館内を歩いていて注目せずにはいられないのがこれらのステンドグラス。ジブリ作品の登場人物たちをあしらった意匠が実によくできています。木漏れ日には実によく映えて美しく見えます。おそらくジブリのだいたいの作品がステンドグラスにあしらわれているはずです。







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二階側面





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地下一階のパティオ





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地下一階外から入り口階段の外観



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屋上付近を見上げる


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入り口付近の外観




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締まった窓

ジブリ美術館の外装は緑だらけ。古い西欧の建物のように美術館の壁面は蔦で覆われています。なのでなんだか立てられた年数に比して古めかしい印象を受けます。最近は趣の無いビルばかりではなく、このジブリ美術館のように外壁を蔦で覆って緑化をしようという動きも見られます。『風の谷のナウシカ』で「Ecology」の思想を鮮明にしたジブリは現在もこうして環境問題に対してしっかりと考え続けています。美術館の建設地を井之頭公園内に選んだのもそういう考えの下だったのかもしれません。




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外に出て、再び正面まで戻ってきました。12時に入場して、出たのが16時過ぎですから、四時間もいたことになります。ジブリ好きにとってはそれくらいいても飽きない場所です。

今回来て観て、ここが遊園地ではなく美術館であるわけが、よくわかった気がします。美術館だからこそ伝えたいこと、美術館だからこそできること、それが宮崎駿にとっては大切だったわけです。遊びもするけれど、しっかり学べるし、細部のこだわり方は美術館と呼ぶにふさわしいものがあります。矮小化された空間の中に詰まったジブリの夢。本当に素晴らしい場所に行ってきた、という気がしました。




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おまけ。ジブリ美術館の入場券。映画のフイルムの一場面が券になっています。こちらは『ハウルの動く城』の引っ越し終了直後の場面。私は『ハウルの動く城』が『もののけ姫』『魔女の宅急便』に次いで好きなのでこれを入手できて幸運でした。