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3月31日の東京歩き、後編です。

目赤不動から北上すると、大伽藍を持つお寺・吉祥寺が見えてきます。このお寺はあの吉祥寺の街の地名の由来となったところです。ここの門前の住人が大火の後に移住して初めて形成されたのが吉祥寺の街なのです。

寺は江戸城を築いた太田道灌が創建しました。曹洞宗のお寺であり、都内では泉岳寺などと並んで重要な場所です。

この吉祥寺というお寺はけっこうな桜の名所であり、境内には無数の桜、枝垂れ桜が植えられています。実にだだっ広い境内だけあって桜もよく目立ちます。



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本堂前の枝垂れ桜。かつては七堂伽藍を誇ったという吉祥寺の威厳は今も保たれています。




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往時の伽藍である経蔵と桜。経蔵は彫り物の施された立派な建物です。


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こちらも当時の伽藍である山門、そして枝垂れ桜です。外は交通の多い通りですが、境内は実に静かで別天地のようです。





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見事な境内の桜。こんなにゆっくりと美しい桜を見られたのは3年前の京都旅行以来です。




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吉祥寺より北に数分のところにある富士神社。戦国時代の創建で、江戸時代には富士山信仰の中心地の一つになりました。富士山に見立てた小高い築山の上に本殿があり、なかなか雰囲気たっぷりです。もともとは本郷の東大のある場所に鎮座していましたが、かの地に前田家の屋敷が建てられることになったため現在地に遷座してきました。





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富士神社よりさらに北へ行き、お目当て、六義園へようやくたどり着きました。六義園訪問は今回が二回目。最初の時は紅葉を見に行きました。

こちらの入り口はあまり人がいませんが、正門です。駒込側の入り口は駒込駅が近いためこちらから多くの人が入ります。この正門は赤レンガの塀が見られますが、これは岩崎家が近代になってこの庭園を得た時に作ったものです。




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六義園の名物、枝垂れ桜の巨木です。都内でもそうはない大きさの見事な木です。樹齢は80年あります。平日にも関わらず桜の周りには人、人、人だかり。大変な人気ぶりです。



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枝垂れ桜をいろいろな方向から。すごい迫力です。普通の桜もいいですが、こういう枝垂れ桜は一本桜で見るのが味わいがあります。しかし三春の滝桜はこれよりも見事なのでしょう。今年は滝桜を見に福島まで日帰りで行こうかと思っています。



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木の根です。根元で五本に分かれています。これで何の支えもなしに枝を伸ばしているから見事です。実に幹は力強く、生命力を感じます。やはり桜を見るときはきちんと幹も一緒に見ないといけませんね。



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この枝垂れ桜以上に、僭越ながら見られてうれしかったのは山吹です。

マボタンの「国花」にしてもいいくらい、私が愛してやまない山吹に一年ぶりに再会、とっても感動です。このどこまでも明るい山吹色を見ているだけで私はどれだけ幸せになれることか…。すぐ散ってしまうのが惜しいところです。





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枝垂れ桜に山吹と花にばかり気をとられてしまいそうですが、この六義園、江戸時代に側用人として幕政を取り仕切った柳沢吉保の庭園として誕生し、当時から名園としての名声を得ていたという庭園の中の庭園であります。さらには震災戦災をも被ることなく当時の姿をよく残していることは奇跡的とも言えます。

池き浮かぶ中の島(写真)はその規模の大きさと築山の美しさでは指折りのものがあります。整然としたこの中の島の佇まいはこの六義園の面目躍如たるところです。




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藤代峠の頂上から見る六義園。お馴染みの光景です。秋には美しい紅葉を見下ろせます。





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藤代峠を下から。中腹にある刈込はツツジです。駒込はツツジを栽培する業者が多かったことから六義園にもツツジが多くあります。





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園内の桜。六義園は創建からあまり改変が加えられていないだけあって、観光地化という背景のもと寺社や庭園に植えられているソメイヨシノを植えることをほとんどしていません。なので六義園の桜というのはほぼあの枝垂れ桜くらいだったりします。ここまで桜の少ない庭園も珍しいですが、逆にそれは六義園が「生粋の庭園」であることの証です。



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池の金黒羽白(キンクロハジロ)。カモ科の鳥で、渡り鳥であり、夏はユーラシア大陸にいて冬場に日本に渡来してきます。目が金色、羽は白、それ以外は黒、という一度見たら忘れられない鳥です。






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画像右に見える変わった石、これが臥龍石と呼ばれるもの。この六義園にとっては無くてはならない存在です。そういえば宮城の松島に行ったときにこんな形をした岩があったような…。




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またしても猫を発見。牛のような模様をした猫です。しかもしっぽをよく見ると、先っぽがお団子のようになっており、これも先の「尾曲がり猫」に該当します。なんでこのあたりに尾曲がり猫がいるんでしょうねぇ。



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境内のお茶屋と茶室です。美しい景色を見ながら抹茶がいただけます。茶道をやっていると、こういうのは「抹茶なんていつも飲んどるわい」なんて思ってお金を払う気がしなくなってしまうのは私だけでしょうかね。



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六義園から適当に東のほうへ向かい、文士の村、田端を目指します。途中で桜の綺麗な坂に面した公園を見つけたので撮ってしまいました。


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中里付近の商店街で見つけた猫。お店のおばさんにエサをねだっていました。顔といい色合いといい、『魔女の宅急便』に登場する黒猫のジジくんにそっくりでした。



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田端の真言宗のお寺、大龍寺に着きました。ここには俳人・正岡子規の墓があります。生前田端に近い根岸に住んでいた子規は死に際してなるべく近くで静かな場所に自分を葬るよう言っていました。現在も田端はわりかし静かな場所なので子規にとってはありがたいことでしょう。






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墓地に入るとすぐ見つかるのが近代の陶芸家、板谷波山の墓です。近代を代表する陶芸家として知られ、茶道具も多く製作した波山は生涯の多くの時間をこの田端の地で過ごしていました。私はこの前出光美術館の板谷波山展を見てきたのがまだ記憶に新しいので墓に詣でることができて嬉しさひとしおでした。






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こちらが正岡子規の墓。こじんまりとしてはいますが、堂々とした銘の文字は見事です。墓前には柑橘類がお供えしてありました。短歌を十代のころからたしなんでいる私の祖母も子規の墓を訪れたことがあるそうですが、もう数十年も前だと言っていました。






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大龍寺にほど近い八幡神社の拝殿。街中の静かなお社です。




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またしても猫発見。白黒頭巾ちゃんです。下町というのはとっても猫が住みやすいよう。




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住宅の合間から見る山王神社。独特の形の鳥居は山王系の神社にのみ見られます。丘の中腹には枝垂れ桜があってにぎやか。




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階段の途中に猫発見。実にこれで六匹目。こんなに多く猫が見つかったのは雑司ヶ谷歩き以来です。猫さんには悪いので階段は上らずにおきました。





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東覚寺不動堂前の赤紙仁王。江戸時代に作られた石造一対の仁王で、患部と同じ部分に赤紙を貼ると病気が治るとされています。すでに信者貼りつけた大量の赤紙で仁王の姿はまるで見えません。




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田端八幡の神輿庫。瓦葺の重厚な建物がずらりと並ぶさまはなかなかのものです。




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田端八幡境内の山吹。満開になってます。日蔭を好み、じめじめした場所に咲く山吹。やはりこの場所もわりかし日蔭になりやすいところでした。





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田端八幡の拝殿。手前の桜が実に見事です。田端八幡は源頼朝が創建したとされる古社で、田端村の鎮守でありました。近くの東覚寺は神社の別当でもあったようで、今は分離していますが、隣り合った場所にあります。




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境内の富士塚。富士山だというのにけっこう中途半端な場所にあります。銅で作られた神明鳥居は素晴らしい出来。





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今回の散歩の最後に訪れたのは、田端で最も由緒あるお寺、与楽寺です。弘法大師創建という言われがあるほどの古さを誇る真言宗の寺で、京都御室の仁和寺の末寺であります。静かで美しい佇まいの境内には見事な一本桜が。西に傾きつつある日に照らされた桜をぼーっと数分間見ていました。







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田端駅近くの桜並木。随分と背が高くなっています。この脇から階段を下りて田端駅へ。大分疲れ果ててうとうとしながら帰路に着きました。

これでおしまい。桜三昧の散歩でした。