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(去年自宅近くにて)

あなたの身の回りの花に「和」は足りていますか。

最近花屋を通りかかったり民家の玄関をふと見やると出会うのは洋花ばかりでちょっと寂しくなります。この島々の人たちは外来のものを極度に好む傾向がありますが、やはり自分たちの島々の持っている良いものにもっと目を向けてほしいなぁと思ってしまいます。

「和」の花、それはこの島々の風土が育んだ、そしてこの島々の人々が永く親しんできたものなのです。彼らは季節にとっても敏感で、律儀に同じ時期に毎年咲くのです。彼らを知ることはこの島々を知ることであり、我々に繋がる人々がどうあってきたかを知ることになります。こんな思いがあって私は折に触れて和の花とその周辺についてご紹介していきたいと思っています。


本日は香り高き先駆けの黄色い花、蝋梅(ロウバイ)を紹介します。蝋梅という花は私の好きな花でして、それは後述しますがイーヨさんの大好物だからであります。梅にも似た花弁を持ち、離れていても独特の芳香を放つので、興味がない人でももうしかしたらその存在に気づいていたかもしれません。

蝋梅の名前の由来は、この花の咲く旧暦十二月の師走、つまり今ごろの時期が「蝋月」とも呼ばれていて、蝋月に咲く梅のような花だから、というわけであります。でも私は花がまるで蝋みたいな手触りだからかと思っていました。日本ではかつて中国から来たので唐梅と呼ばれていましたが、梅もどっち道中国からきているのであまりふさわしいとは言えません。

蝋梅は梅と比べると立ち姿は美しくなく、画題になったことは全くありませんでしたが、その朗々とした黄色の花は見ていて気分の明るくなるようなところがあります。非常に梅とよく似ている蝋梅ですが、梅がバラ科なのに対して蝋梅はロウバイ科というまったく別物であります。特に木の枝を見ると違いがはっきり分かるでしょう。



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蝋梅はちょっと変わっていて、12月になってだんだん青々とした葉っぱの色が落ちてくると花芽ができ始め、葉が散るかどうかというときに花が咲きます。普通の花だったら花が落ちた後で葉が出てきて、葉が散ったら花芽がつくのですが、蝋梅は相当変則的です。この蝋梅の黄色くなった葉っぱは斑点状になっていて模様が面白いと私は感じますし、やつれた葉を残しながら蝋梅の花が咲く様はちょっと侘びたものを感じます。

この時期テレビを見ていると秩父の長瀞や群馬にある蝋梅園の蝋梅の満開情報が伝わってきます。梅園は全国にたくさんあるでしょうが、蝋梅園というのも意外にあったりするのです。一面に広がる蝋梅の黄色の海、贅沢なものでしょうね。



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蝋梅は冬の食べ物が少ない時期にあって花の盛りを迎えるので鳥からは重宝されています。特にこの蝋梅を好物とするのがイーヨさん、ヒヨドリです。蝋梅は低木なので地上の外敵に狙われやすいのですが、警戒意識が強いイーヨさんはすぐに危険を察知して逃げられるので大丈夫なようです。イーヨさんは花の蜜を目的としているのではなく、花弁を食べるためにやってきていて、食べたあとはくちばしが真っ黄色になります。椿・千両・梅・桜などイーヨさんの好物はたくさんありますが、蝋梅の木で見かける確率が一番高い気がします。




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(一昨年鎌倉にて)

お正月が旧暦から新暦に移行したあとである現在では松竹梅の飾りには梅の開花が間に合わないため、よく梅の代わりとしてこうして蝋梅を飾ります。私の祖母もよく梅が無いこの時期には代わりに蝋梅のつぼみを生けて梅に見立てます。祖母は3月には菜の花の代わりに諸葛菜を用いてもいまして、この智慧はさすがだなと感心させられます。梅と蝋梅が似ていたことはこのお正月における梅不足解消に役立ってくれています。


蝋梅の花弁を一輪とって見てみると幾重にもかさなった花びらからいい香りがしてきます。この香りはまさに春の訪れの香りであり、もうすぐ梅の季節が来ることを教えてくれます。この一月の花の無い時期に蝋梅とそして水仙は目と鼻でもって我々を楽しませてくれます。今の時期には本当に欠かせない花、それが蝋梅です。