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梅雨が進んで来、暑さで室の中でも汗をかきそうな頃となりました。

やはりこうなってくると茶をたしなむ人としては腕の見せ所。いかに趣をこらして暑さをまぎわらしましょうというのが一つの楽しみとなります。ふすまを葦戸に変えたり簾をかけたり涼しげな色合いの碗器を出してみたり。

和菓子屋はそのところにおいてもよく涼しげなお菓子を作ってくれるものです。寒天などを用いたみずみずしい生菓子が店先に並ぶようになるのがまさにこのころ。我々としてもそういったお菓子を見かけるとお稽古で使いたくなりますね。

上の和菓子はとらやの「観世水」。道明寺粉を用いた舌触りの面白き一品です。観世水というのはよく紋様として見かけるこの渦形のこと。室町将軍足利義満は能楽を好み観阿弥世阿弥親子が興るのを助けたことで知られています。その義満が観世に与えたという屋敷の井戸は観世井と呼ばれて井戸の内にできる渦紋が象られたものが観世水であります。

あとこのお菓子器も釉のすきとおるちょつとくらい感じが今にとても合います。何焼きかはわからないそうですが釉の色合いはなんとなく信州松代焼に似ていなくもないです。




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道明寺粉の柔らかき舌触りが心地よいお菓子です。見ても良し食べても良しが和菓子のすばらしさなのです。




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今日のお花はハンゲショウでした。この盛夏近い時期に葉っぱが半ばお粧(めか)しするすることからその名があります。かつては片白草(かたしろばな)とも呼ばれていたみたいです。

そういえば今月草津に行く路にてハンゲショウのように葉っぱが白くなる蔦のような草があって高木にからみついていました。祖母にこの話をするとそれは「またたび」だと教えてくれました。あの猫のお好きなまたたびです。




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もちろんお菓子だけでなく他にも色々と夏近き頃の趣を出してみました。

茶器 箱根寄木細工
茶碗 黒楽焼
水指 唐津焼
蓋置 朝鮮青磁

茶器は塗り物だと暑苦しいのでカラッとした寄木で。この不思議な紋様に目が行ってしまいます。茶碗はやはり夏に合う侘びの椀が黒楽です。少してかりのある釉(うわぐすり)を用いており殊更夏向きです。水指は唐津焼。色合いは「薄茶」色でありましてあまりうるささを感じさせないところが良きかな。寸胴はちょっと野暮ったいですがこれにしました。そして蓋置はこれが素晴らしい朝鮮青磁。この色合いの涼しさと品の良さであります。蓋置とは脇役に過ぎませぬが真の数寄者なら奥ゆかしく座している蓋置を愛でる眼を働かせるでしょう。


今日は夏が近づいたお蔭で色々と凝らすことができて楽しかったです。梅雨が終わるともっともっと暑くなってさらに数寄者は暑さに趣を添える知を働かせないといけません。それはとっても面白きものでもありますしもっと考えてみたいなと思います。




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おまけ。うちの仏桑花が咲きました。

母の地元の奄美から叔父が鳥取の境港の家に持ち込んで育て株を増やしたものをいただきました。奄美の仏桑花は売られているものとはだいぶ姿が違います。花の先がぎざぎざしていてめしべとおしべがとっても長いのです。なかなかこちらではお目にかかれない奄美の野の趣あふれる花がこれから咲き乱れるのが楽しみであります。