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約四か月ぶりに茶の稽古を行いました。

前回のお稽古をしたのが7月4日でありましたのでいつの間にか季節は冷え冷えとする晩秋へと差し掛かってきました。もうそろそろ風炉も似つかわしくない風情に思われますし うちは風炉が電気釜でやっていますので 余計早うあの炉の温かさが欲しくなってしまうものであります。

この時期になりますと菊がお庭の外に臙脂や薄紅 白に紫紺のものが咲き乱れ さらには田舎風情のあるつわが黄色い花をあちらこちらに愉しげに咲かせるのです。お茶ではあまり花を生け過ぎぬのが良しとされますが この時期のみは違って 宗全籠という大口の籠がありますので 全部それに生けることができるのであります。

宗全籠にはその真中につわの花を据えて周りを野菊が荘厳するように生けます。秋海棠や吾亦紅 薄の葉があれば背景を任せられるのですが あまり無かったので代わりに杜鵑にその役を担ってもらいました。杜鵑というヤツも雑草でありずいぶん背が高くなるのですね。私は今年山登りを始めて 玉川杜鵑やら山路の杜鵑やらあちらでしか会えない高山のわりかし可憐な杜鵑を見られて ちょっと杜鵑を慕うようになった次第です。





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生菓子は秋の醍醐味 栗を用いた栗粉餅。

とらやの生菓子は大変古くから用いられてきたものが少なからずあります。この栗粉餅(くりこもち)は初出が元禄年間 つまり三百年前であります。とらやの生菓子の中でも栗をふんだんに用いて贅沢な逸品であります。私はこれで頂くのが三度目。最初は夏の京都 短期講習会でいただきました。今まで食べたとらやの生菓子の中ではこの栗粉餅が一番美味しかったろうと思います。

そして菓子器は益子焼であります。島岡達三という人間国宝にもなった益子焼を代表する作家のかなり初期のころの作品であり 祖父が氏の名が知られる前に購入したものです。四角形の重厚な造りに加え益子特有の釉薬が大胆に色分けされており なかなかの出来栄えであります。今では元値よりもけっこう値上がりしたのでは とどきどきしています。



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お干菓子はちょっと迷いましたが右が金沢 諸江屋の落雁 雪うさぎを。一昨年のこの頃に金沢に私は旅行して本当にいい思い出となっていますので それを思い出してこれにしました。梅の形をした可愛らしいお菓子です。

そして左は京都の八つ橋です。干菓子としてはどうかなと思いましたが 白く雪化粧したものだったので 寒くなってきて霜が降りるくらいの今の時期にちょうどいいのではと思いこれに決めました。




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お稽古自体は久々だったので薄茶点前を確認しておしまい でした。

今日の主茶碗は祖父が生前最も好んだ絵唐津茶碗 銘 西瓜 であります。蕎麦色に井戸形という渋い造りに 無心で描いたような縦縞模様の絵付けがなされております。祖父は柳宗悦の民芸というものに凝っていたのが蔵書から伺えまして この絵唐津も宗悦が欲しがりそうな逸品であります。私はこの縞々模様がちょっと間抜けていていいなと思い勝手に 西瓜 という銘をつけました。

棗は珍しく真塗りのものを使いました。真塗り棗は侘び茶の神髄でありますが 此度は故人を偲ぶという意で総黒のものを用いました。


久々のお稽古はこんな感じでおしまい。来月はそろそろ中置きやら炉開きやらが迫って楽しみであります。もうちょっと稽古の方も話題も増やしたいなとは常々思っているので頑張りたく思います。