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兼六園の南 本多町にある中村記念美術館。

今回は茶道具展が催されていたので行ってみた。中村記念美術館は茶道具に特化した美術館として知られる。数は多くないものの質は高い。一週間後に迫った百万石まつりではあちこちで茶会が催されるのだが館の茶室も使用される。

開館50周年を記念したこの展覧会では主だった茶道具がほとんど展示されている。久しく美術館に行っていなかったが場所的に近いので足を運ぶことにしてみた。


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黒織部沓茶碗

吊るし柿を描いたと思わしき黒織部の茶碗。いかにも織部焼らしくゆがみが強く入っている。特に口縁のあたりのいびつな感じが独特だ。



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上から覗き込むように見ると少し様相が変わって御所丸茶碗のような見た目になる。黒と白を強く分けた見た目は鮮烈な印象を植え付けてくれるだろう。



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赤楽茶碗 銘 手枕 楽長次郎造

千利休の指導の下侘びの楽茶碗を追求した楽家初代長次郎の作品。実に大人しい作風はおそらく長次郎でも初期のものではないかと思われる。赤というよりは色が落ちて茶色にも見えなくないその色合いは実に侘びていると言える。手捻りならではの独特のぬくもりにも着目してほしい。



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青井戸茶碗 銘 雲井

青井戸茶碗の代表作の一 雲井。青井戸にしては少々大振りな部類に当たる。均整の取れた美しい形状は青井戸茶碗でも一二を争う名品ぶりだ。青井戸ならではの色の妙がとても味わい深い。



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御所丸茶碗

御所丸茶碗は桃山時代に朝鮮の窯で焼かれ御所丸船によって運ばれてきた茶碗である。歪みを意識したその形状は織部焼にも共通していて当時の共通した美意識がうかがえる。日本から送られた切型を元にして焼かれていたのだがその生産は短期間で終わってしまったらしく高麗物でも特に希少性が高い。御所丸は黒刷毛目を使ったものと用いない真っ白のものの二種類があり記念館蔵のものは後者。一見地味に見えるが美しい白地や締まった胴には大変な個性があり意外と存在感がありそうだ。




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伊賀花入

緑釉と歪みで知られる古伊賀の花入。伊賀は特に花入を中心として生産がされておりひと山越えたところにある兄弟窯の信楽焼は水指が専門であった。本花入は東京畠山記念館蔵の伊賀花入 からたちに姿が似るが大きさでいうと断然こちらのほうが上だ。古伊賀特有の豪快に焼かれた身は実に豊かな色合いを持っている。らっぱ口のゆがみ具合も見どころだ。




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花入の背面は全く違う顔が。赤くなっているのは伊賀焼の地の部分。緑釉が二筋流れているところに味がある。これだけ大きな花入だが一応掛け花入としても用いられていたようでかけるための穴の後がらっぱ口の部分に見られる。




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九谷水指

最後は大変珍しい九谷の水指。一見唐物の祥瑞の二番煎じに見えるかもしれないが実に豊かな絵付けの表現や九谷特有の色合いに見入ると病みつきになってしまいそうだ。まるで山水画の世界のような広大な絵が実に秀逸だ。九谷は皿が有名だから絵付けはどちらかというと幾何学的なほうに行きがちなのに対してこの水指では実に俵屋宗達の松島図のごとき風情がある。



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特有の筆遣いで巧みに描かれた絵。九谷ならではの色の世界を堪能したい。



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美術館の一階では十代大樋長左衛門の作品も展示されていた。大樋焼特有の飴釉の茶碗は無かったが赤や黒の釉薬を用いた楽茶碗風のものなどが展示されていた。上の物は本阿弥光悦風に口の内すぼんだ赤楽。控えめに入った緑釉が美しい。



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こちらは黒織部風。形状に関しては楽長次郎の赤楽 早船を彷彿とさせる。


久々の美術館訪問は数寄心に新風を吹き込んでくれた気がする。自分では何も作れないし美しいものを手に入れることも出来ないけれど一方では何か不思議な鋭気が湧いてきたのである。また再びこの矛盾に富んだされど深遠な数寄の世界へと浸かっていくような気がする。




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ここからおまけ。兼六園と金沢城の間の通り。サツキがだんだんと奇麗になってきた。



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石川門は緑豊か。



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洋風の家とヤマボウシの木。


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城下の白鳥路は憩いの散歩道。



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柏葉アジサイのある町家。



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奇麗な三毛猫。尻尾が短いから本物の三毛だ。



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最後に自宅から白山。だいぶ雪が減って夏山の様相を呈してきた。とはいえ金沢からの直通バスが出るのは再来月から。それまではこうして自宅から白山を拝んで我慢することにしておこう。