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秋の涼しい風が吹いています。

空を見上げれば気分屋ないわし雲が浮かんでいました。もう一番暑い時期は終わってしまったんだな、とこの雲を見て悟ります。

白露、とは名の通り、冷たい空気のせいで草の葉に露がしたたるのです。まだ其処まで寒くないので想像できませんけど、高地のほうではきっと露の濡れる草花の情景があるはずであります。

美しい雲。美しい秋。気づかぬ間に季節はうつろいます。変化というのは全く全体的なものであるよりも、何気ない一風景に刻印されていて、それを見つけるのが楽しいです。夏と言うのは日に日に遠ざかっています。最も端的なのは気温が下がることでしょうが、風雅は見出しがたいですね。花が、風が、鳥が、教えてくれたらいいと思います。

これからはとても素晴らしい季節です。木々は煌めき、草花は鮮やかでしょう。心までもが、侘びていく季節の中で鋭敏に研ぎ澄まされ、想像の世界へと人を誘います。心を鏡に見たて、其処に映し出される景色を描くにはまたとなく良い時候。我々がもし何かこの手で作りだしたい衝動に駆られるとしたら、それは美しい季節がそうさせるのです。





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南の空にはいまだ夏雲がありました。大きな雲です。まだ夏のつもりでいてください。暑さのぶりかえしはもうすぐやってくることでしょう。私はそれを予期すると単衣などまだ来たくないような気分になります。

巨大な夏の雲は毎日のようにやってきます。そしてやはり外を歩いていると少し額に汗するくらいの気候です。

そういえば「二百十日」はもう過ぎましたね。立春から数えて二百十日目のことをそういいます。野分の季節でもありまして、二百十日のころにはよくやってくると言われています。事実今頃はよく野分の所為で暴風雨になりますね。夏目漱石にはあまり知られていませんが『野分』『二百十日』という小説があります。『二百十日』は漱石自身が四高教師時代に阿蘇山へ上るが嵐に遭って断念した逸話に取材しています。



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秋海棠(高岡町)

花海棠の時期ははるか昔。そんな事を思い出させてくれる花です。

見た目は全くの草花ですが、花だけ見ているとやはり花海棠の花弁をおもいだしますね。海棠と言えば私の祖母の家に沢山あります。新しく家が建った所為で祖母の庭の植生も大分変りました。以前はほんの少ししか無かった秋海棠は日陰が家の作る日陰のおかげで増殖し、今頃は一面を埋め尽くしているころでしょう。湿り気が好きな花です。

秋海棠と言う花は異国じみている。そう思いませんか。意外に此の花に我々が接するようになったのは藩政期のこと。中国から渡ってきたそうであります。少し豪胆そうな葉、生命力豊かな植生など、なんだか此方の風土と少し異なる風情を持っている気がします。




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紫式部(高岡町)

色づきはじめの紫式部です。

ムラサキシキブってやたら沢山実がついていますよね。たぶんこれらはすべて園芸種用に改良されたもので、原種はもっと地味なんだと思います。だから何か不自然な感じを抱いてしまう。現代の害って多様性の少なさだと思うんですよね。平地の人里の植物はだいたい同じ遺伝子の園芸種が出回ってしまい、どの花も同じような姿。ちょっと寂しい気がします。


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今が旬 五郎島金時(下近江町)

いわゆる加賀野菜の一つ、五郎島金時は八月の末ごろから市場に出回ります。近江市場の八百屋ではどこもこの五郎島金時を扱っています。

五郎島金時は加賀野菜らしく、長い歴史を持っています。栽培が始まったのは300年前、薩摩芋を鹿児島から持ち帰ったことに由来します。沿岸部には砂丘地があって、今でも其処でこの五郎島金時は育てられているそう。この芋の味わいは「ホクホク」ではなく「コボコボ」、私も実家に持て帰って皆で食べようと思います。



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薄紅の萩(長町)

「萩は日本人の美意識を象徴する花」、柳宗民(柳宗悦三男、園芸家)さんの本にはそう書かれています。

萩を愛でる感性は我々にしか分らないそうであります。他の国では「ちょっと寂しげで地味な花」くらいにしか見なさないのです。では萩の美しさ、って何だと思いますか。それは一言で言えば「風流」だと思います。文字通り、風に流されてみやびやかなのです。花は小粒で地味だけど、それが枝垂れて揺らめく様は人の心を打ちます。萩は地味だから逆にいいんですよね。




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水引(高岡町)

水引は不思議な花です。

整然と並ぶ赤と白。花というよりもなんだか作り物のよう。花と言うのは時として我々を魅惑するのに不思議な形態をとることがありますね。クマガイソウとか、ホウチャクソウとか。綺麗であること、それは花にとって何よりも重要なことなのかもしれません。

背が高い花なのでお茶花にも相性が良いです。これからは花のにぎやかな季節。沢山投げ入れて秋を愛でましょう。


次回は秋分。9月22日です。