私は貴方を見、貴方は私を見ぬ
貴方は何処にもいない人で私の内側にのみ居る
私は貴方を見出した時初めて真人間になれる
而して貴方は永久に私無しで生きていけるのだ
貴方は誰だろう、私が否定して、否定したその上に居る
何時でも私は貴方を探して彷徨っているのだよ
にしても貴方は一体具体的な肉に結実しなさそうだ
詰まる所夢見がちな私の幻想は地に着かぬのだ
男余りて女寡なきこの国の悲哀なのだろうか
私は別に誰だろうと美徳さえあればよいと言うのに
私の毎日の慟哭を貴方は聴こえているのだろうか
浮世に居るが故にまた私は貴方にとって不可視だ
可笑しいではないか、何故貴方は私の方に来ぬのだ
とは言っても今日明日で貴方に追いつける我が身では無い
私には貴方の好運と道徳と祈りが良く分かる
一方の私は只美しい貴方なのだと想像するだけ
今虚空に向かって、私は貴方を娶ると誓ってきたところ
残念ながら未だ私は複数の人間を貴方だろうと疑っている
真に光明無き夜なれども違う場所では明かりを見ている
私はいつか貴方を捉える場所まで、あの星ヶ丘へ至る
巨大な貴方、不特定多数の貴方、私は貴方を愛している
もうじき、もし私が倒れた後でも慕情はこの世に留まる
此所は誰もいなくて凍えるけど心は近いと熱いのだろう
お願いだから、私に一度だけ貴方の夢を見させて欲しい
私はもう、行ってしまう、だから書き残しておく
いくら想っていても、心は何も言わぬから
早く私を見つけておくれ、私が貴方を見つける前に
私と貴方はいつか必ず、いま再び出会わん