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芙蓉花ももう終わり。だんだん一日花も少なくなって今では3つ4つほどか。

上野の美術館が混雑していて入れないので西行して根津へと向かう。いつも寄る芸大横の上島珈琲だにひどい盛況でやはり立ち入らない。文教地区を横切って上野桜木町に至ると打って変わって下町の雰囲気。寺をいくつか詣でて、ついでに花も愛でる。目指すのは根津権現。




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背の高い酔芙蓉が本堂前。萩や芙蓉は花の後で坊主に刈っても翌年には元通りに伸びる。盛夏のような元気さがありながらも、初秋の花々は何か冷えていく季節の哀愁を伝えているような。






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秋海棠。いかにも唐人づらの花。。私はあまり好かないが、引っ越してきた祖母の家には今たくさん咲いている。







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ほととぎすの花。萩よりも遅れて十月初旬に咲き始める。市井のほととぎすはよく花をつけるけれども、この前日吉の慶應山の裏で見つけた、白い一輪咲きのほととぎすなどは高貴な印象を抱いた。

ちなみに鳥の方のほととぎすのほうは未だに今年は聞き初めていない。鎌倉などに行けば初秋には巨福呂坂の辺でよく鳴いているのだけども、なかなか都には来ない。





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萩。野分のごろに咲くのでかわいそうに、すぐ散らされる。でも、散り際の綺麗な花のほうが風情はあるはず。落ちた花は鮮やかに地を染め上げていてこれもまた好きだ。



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白萩。紅の萩に比べると随分地味な感はあるけれども案外萩の寺などというと、白萩のほうが多かったりするもの。鎌倉の宝戒寺、五日市の大悲願寺もやはり白萩ばかりであった。



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薮蘭。これは斑入りのもの。墓の入口にひっそり咲いている。




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根津権現に至る。最近は少し騒がしいけど、此所の神門の前に腰かけて本を読んだりすると愉しい。拝殿の屋根よりも高く、長谷川等伯か、横山大観が描きそうな、少し枝垂れた松の大樹が曇天から覗き込んでくる。根津さんは社殿も立派ながら樹木もまた歴史があるので一度ぐるりと境内を観察すると面白い。




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拝殿の向拝に紅白の菊。もう最近じゃ園芸種のマムばかり野で繁栄しているけれども、酒井抱一が描いたみたいな本当の和菊は今も淘汰されずどこかでひっそり咲いていたりするのだろうか。




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本殿裏の木犀。今年は開花時期がかなりずれこんで、いつもは九月下旬に一気に咲くのが、今頃芳香を漂わせているものもあって、こちらは結構当惑させられる。




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手水舎横には立派な銀杏の木。満天星や銀杏は特に根津さんだと紅葉の時期には目立つ。余り知られてはいないけど晩秋は大変きれいだ。



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根津さんを出て、千駄木から谷中へ。千駄木は一新されてしまっているので旧安田邸の他はなかなか往時を偲ぶことはできない。谷中もまた近年物見で騒がしいところなのであまり寄りはしない。

紫式部の実。けっこう派手。やはりもっと野趣のあるほうがよい。





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谷中に行く途中には萩の寺があった。もう散り際だった。花の飛ばされてしまった萩の株は衣を奪われたようで寂しいけれども、それでもやはり萩というのは綸子の如くてかてかと目立つのだし、初秋の主役だと思う。




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谷中の朝鮮朝顔。お化けのように大きな株だ。




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谷中が五月蠅いので、霊園のほうへと足を延ばす。此所は思索を行うのにちょうどよいところ。墓地というのはあまり死者に共感しすぎると自分を失ってしまいそうだけど、都会の真ん中に居るとこういう場所が有り難く感ぜられる。

霊園は猫の名所らしい。私は別に猫に会おうと思ったわけじゃないが、孤児の如く群がっている数匹を見つけたので対応してしまった。同好者もいてしきりに猫とのじゃれあいを試みていた。




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巨大な霊園を経て上野桜木町まで戻ってくる。寛永寺の境内を通り抜けると、また萩の株があった。もう今年の秋はおしまい。後は静かに冬が歩み寄ってくるだけ。そんな風に考えて萩を名残惜しんだ。

終わり。