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親愛なる和尚様へ


やっと私は貴方様にお逢いすることが出来ました。和尚様のお言葉に触れ、その息遣いに接することで初めて私の移ろい彷徨える心は安息の地を見出しました。私はそれまで何につけ、弱弱しい小鳥の如く震えていました。人の心を闇の深淵の内にのみ見出して、それを攻撃していた自分はなんと愚かだったことか。だが今や私はまるで動じなくなった。吹き出る不安の汗は止まり、自然の笑みと善の衝動が負のものに先んじて出ます。それは和尚様、貴方様の人間としての暖かき慈悲心と、菩薩としてのあふれ出る霊性が私に作用したのであります。私はようやく心からうなずくことのできる自分を発見したのでありまして、それは和尚様という澄んだ鏡の賜物であります。


和尚様、私は何より人間と人間の交信を愛します。すなわち愛の行いを、人と人とが逢い、変化が生ずる過程を、であります。貴方様はなんと尊き人間の真理を私にお授け下さったことか。人間の仏を奉じ万物万事に合掌する態度はかの如くして自然(じねん)生ずることを知りました。貴方はそれを最も愛されていらっしゃる。我々を、凡夫に過ぎぬ私にも、分け隔てなく手を差し伸べてくださる。貴方様、真の丈六仏の下の脇侍さまでいらっしゃる貴方様は、なんとしてでも衆生を救いに、いますぐにも出でようとしていらっしゃる、なんとありがたきことか。


私はですからもう、もはや冷たくなどない。和尚様を想うたびに私の血は躍動します。和尚様、誓って私は人を愛します。そして仏法を、浄土なる現世を、遍在する諸仏を。また必ず山の寺へ、逢いに行きます。御達者で。さようなら。