IMG_2310



















茶道の歴史を学べる漫画、『へうげもの』、再び購入しました。

謎多き大茶人、古田織部を主人公とし、彼の茶の湯を突き詰めた人生の黎明期から死までを追った名作漫画、『へうげもの』。お茶をたしなむ人で茶道史に興味があるなら是非ご一読をおすすめします。これ一つで茶道通になれること請け合いです。

私が『へうげもの』を読み始めたのは12巻から。この世の価値観は「数寄」である、といういわゆる「へうげもの史観」に私は魅了され、最終巻までずっと読み続けておりました。一度は諸事情で手放してしまったのですが、再び茶道を始めるにあたり全巻購入いたしました。

『へうげもの』は半分歴史漫画で、半分茶道漫画です。多分比重は前者のほうが多いでしょうが、それでも茶人がなるほど、とうなるような場面は沢山あります。というのも、この漫画の時代設定は織豊政権から藩政初期の大坂の陣まで。この時期、茶道はとてつもない勢いで発展を遂げ、また衰退しました。侘び茶から大名の茶に至るまで、実に多様な茶道が登場していたのです。そしてその中心にいた、ということになっているのが『へうげもの』の主人公・古田織部であります。

『へうげもの』における古田織部のやったことは主に以下に三つです。

①師・千利休の賜死にあたって介錯を務めた
②新時代の焼き物・織部焼を朝鮮渡航など苦心の末誕生させた
③関ケ原の戦いから大阪の陣までの間徳川と豊臣の間に立ってその仲立ちを果たそうとした

①と③は史実ではなく、②に関してはまだまだグレーゾーンの多いものであります。千利休の介錯をしたのは彼の弟子である蒔田淡路守ということになってますし、この漫画で提唱された「豊徳合体」、つまり徳川と豊臣を仲良くさせようとする織部の試みについてもちょっと強引すぎるのではないかというところがあります。ですが、これら史実ではない織部八面六臂の活躍が笑いを誘うところもあり、妙に納得させてくれるところでもあり、『へうげもの』の面白さの源泉ともなっています。②の織部焼誕生秘話に関しては織部自身が陶工並みのフットワークを活かすことによって如何にその摩訶不思議な造形を生み出すのに苦労したかという過程がよく分かるようになっており、この漫画の白眉の一つと言えるのではないでしょうか。

歴史漫画としても名作ですし、如何に茶道と日本史が密接に結びつき、発展したのかを知る好材料であるともいえます。「おい!それぇ!!ノン!」などの明言が有名な織田信長、やたら黒が大好きで腹黒くもあるちょっと病んでる千利休、付け髭で貫録を出したりお小水をこぼしたりする豊臣秀吉、眉毛が無くてやたら頭の固い石田三成、完全に子孫の元首相と同じ顔になっている細川幽斎など、一癖も二癖もあるキャラクターたちが『へうげもの』ワールドへと貴方の心をがっちりわしづかみにするでしょう。

完結してからもう3年が経ちます。ちょっと遅ればせながらですが、これから全巻レビューや漫画に出てきた茶道具の特集、やろうかなと考えております。私も『へうげもの』によって数寄心を養った人間ですので、そういった方が一人でも増えてもらえたらと思っております。茶道人口の減少が叫ばれる昨今ですが、『へうげもの』という漫画は若い方がお茶を始める素晴らしいきっかけになるかもしれません。

まだまだ『へうげもの』ムーブメントを絶やさぬためにも、まずは私自身が『へうげもの』から沢山学習せねばと思います。準備が整い次第、特集記事を順次投稿していきます。